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巣箱

細々とポケモン小説を書き綴るサイトです。

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事情聴取


無事にバンギラスをポケモンセンターに送った二人は、警察署の前で立往生していた。その理由はレインがダダをこねているせいだ。


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「やっぱり行きたくない」
「捜査の手がかりになるんだから、行こうって!」

リドーは無理やりレインの背中を押して警察署に入った。中はがらんとしていて、受付にいる警察館の眼差しが一斉にこちらを向いた。
レインがひるんでいると、リドーが前に出てきて慣れたように声をかける。すぐにやり取りが終えて戻ってきた。
「オッサン上みたいだから上行くよー」
リドーはキョロキョロと周りを見ながら、勝手に階段を上がっていった。
「おい、勝手に入ったら怒られるだろ」
「平気平気、問題ないって。あっどもー」
リドーが挨拶すると近くの警察官も会釈する。そのやりとりにレインは半ば呆然とした。
二匹は階段で二階に上がり、リドーは捜査一課と書かれている部屋を覗いた。
 
中はがらんとしていて皆出払ってる様子だった。
「えっと……」
リドーは誰か居ないかと探していると一人のスピアーが気づいたようで
「あれ、リドー君何かようかい?」
っと話しかけてきた。

「ピース刑事。オッサン探してるんだけど、どこに居るか知ってる?」
「ブラン警部なら今は捜査本部に行ってるよ。そういえば君とラス君もあの事件の現場に居たんだよね? あとで話し聞かせてくれるかな」
「あぁ、別に良いよ。というかそのことで話があってきたんだ。犯人と数日前に面識があったっていう奴が居てさ」
レインを指してリドーは言った。
「本当に? なら今から話を聞きたいですね。当の本人があれで身元調査できなくて困ってたんですよ」
良いですか?とスピアーは聞いてきた。
 
「別に大丈夫だけど手短にお願いします」
レインはなるべく早くこの警察署から出たかった。
「ではこちらに」
スピアーに案内されてレインは個室に入れられる。
その間、リドーは廊下の外で待つことになった。

「どうぞそこに座ってください」
言われたとおりレインは置いてあるパイプ椅子に座った。
「まずは自己紹介から、私はピースと申します。あなたの名前は?」
「レインです」
単調な声でレインは質問に答える。
「レインさん、面識があると聞きましたが、本当にこの方でしたか?」
ピースはおもむろに写真を机の上に置いて、レインに見せた。
「……間違いないですね。確かに数日前、このドサイドンを見ました」
――まいったな、面倒なことになった。これで質問攻めは免れないとレインは腹をくくった。

「数日前と言うと、どこで見ました?」
「街角で、ダーテングと一緒にキレイハナの女性に絡んでるところです。まぁダーテングが一方的に絡んでいましたけど」

「ダーテングと一緒に? ……それで貴方はどうしました?」
「その女性が困っていたのでその二匹に注意をかけました」
殴ったと言えば傷害行為で違う意味でまた話が長引きそうなので、レインはウソをつくことにした。

「注意を――彼らはおとなしく受け入れましたか?」
「いえ、逆切れして攻撃されました。まぁなんとか追い払いましたが、その女性には怪我はありませんでした」
 淡々とレインは質問に答え続けた。
「その女性の名前とかわかりますか? ドサイドンと関わりがありそうでしたか?」
「いえ、そこまではわかりませんよ」
「わかるのは絡まれた方がキレイハナだけですか……」
ピースはレインの目の前で考え込みだした。
「あの、なんで犯人のことを聞くんですか? 捕まったなら本人に聞けば早いかと」
レインは疑問に思ったことを聞いてみた。
「それができないんです、正気を失ってるようで捕まえるときも暴れまわって手がつけられない状態でしたから」
「はぁ、あの時はただのチンピラだと思ったんですが」
 
「麻薬でもやったのかもしれないけど、あの暴れ方は異常だよ……」
ピースは困ったようにため息を漏らしていた。
「あの、そろそろ帰っても良いですかね?」
レインが切り出したところで丁度ドアがノックされる。
 
ドアを開けて入ってきたのは強面のカブトプスだった。
「どんな感じだピース」
ドアの後ろからリドーも伺えた。
「ブラン警部、あらかた彼に話を聞きましたがあまり情報と思えるものはなかったです。ただ彼の知り合いと思える者が上がりました」
「それはどういう奴だ?」
「名前は分かりませんが、ダーテングだそうです。住人を洗えばすぐに分かると思います」
「そうか、すぐに手配しよう」
 
そう言ってブランはふとレインに顔を向ける。
「――お前さん、炎タイプか」
「そうですが」
ブランはレインを見つめたまま視線をそらそうとしない。
「……ブラン警部、彼は関係ありませんよ」
「そんなことわかっておる」
ピースの意味ありげな言葉にレインは引っ掛かりを感じる。
「どういうことですか?」
「いや、すまんな。こっちの話だ」
ブランは気にしないでくれと言って、席を外した。

レインは取調室にある時計を見て、もうすぐ夕方になることに気付いた。
「あっ、あのそろそろ良いですか? 俺の家ここから結構遠くて時間かかるんですよ」
レインは声を上げてピースに申しでる。
「あっはい、そうですか、お時間頂きありがとうございました」
 ピースがそういうや否や、レインは足早に部屋を出た。

「よっ! 話し終わった感じかい?」
リドーはレインが出てきたので軽く挨拶する。
「あぁ、だから俺は帰る」
「なんだもう帰るのか? せっかく来たんだから見学すればいいじゃん」
「いや、そんな暇ないじゃないし。第一仕事の邪魔だろ」

「今回の事件で忙しそうに見えるけど、本当は暇なんだよこの部署」
内部事情に詳しいリドー
「それここで言っていいのか」
「警察が暇なのは平和の証拠だろ? まぁ昔はそうでもなかったけどね、今回なんて霞んじゃうほど、やばい事件が多発してたんだ。想像できるか?」
「へぇ、意外だな」
「昔って言っても結構最近なんだけどな。数年前、巷を騒がせた怒号の爆風の話知っているか?」
「……まぁ、有名だしな」
レインは嫌な顔を見せる。その話は嫌な思い出だと言う様に暗い顔を見せた。
「それが俺たちの町にも来たんだよ。複数の炎ポケモンが町にやってきたかと思うと、突然自分たちはあの怒号の熱風の部下だと言いだして町を放火しはじめたんだ」
「怒号の爆風の部下だと?」
「あぁ、しかも逆らったら怒号の爆風が自らやってきてこの町を火の海にすると言い出した」
「怒号の爆風の名前を出されてさ、みんな怯えちゃって住民の半数が逃げ出した。残った奴も奴らの好き勝手にされてさ」
「そのあと、どうやって追い出したんだ?」
「結果だけ言うと、花屋の店主が怒号の爆風を一人で倒したんだ」
「へ?」
「みんな怒号の爆風ってだけで怯えてたからまともに戦えなかったんだよ。だけどその花屋の店主は臆せずに戦ったわけ、そしたらそいつら点で弱くてさ。それで終わりってやつ」
「なるほど、それでそいつらはどうしたんだ?」
「逮捕されたよ、けど怒号の爆風は捕まっていない。けどもうこの街の近くにはいないと思うし、悪さをしている噂も最近全く聞かないしな」
「報復に来るとか思わないのか」
「けど今度はそうはいかない、みんな戦うから大丈夫だと思うよ」
「それなら大丈夫だな」
 
 

「……ピースあの者の名前を聞いているか?」
ブランはレインの行動が不審に思えてならなかった。
「レインと言っておりましたが」
「なっそれは本当か!」
 
ブランが驚きの声を上げたのでピースとリドーは何事かと目を丸くした
「そっそうですがどうかしたんですか警部?」
「あ、いやなんでもない」
ブランはレインが消えた椅子を見つめていた
―まさかな、あのバクフーンが奴なわけがあるまい。偶然同じ名前だったんだろう、見た目も性格も全然違うではないか


あの怒号の爆風がまたこの町に来るなどありえん話だ

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クロコダイル
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このブログについての説明は、Aboutをお読みください。
某小説サイトで書いてたものを移転させています。現在書き直し&連載中です。たまに一次創作も書いてます。
なお他小説投稿サイトと違う作品を投稿してます。

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