昔々のお話。
ある森に二つの村がありました。
最初は森を開拓するために集まった人で作られた集落でした。
しかし、森の開拓が進むにつれて多くの人が集落に住まうようになったのです。
人が増えるたびに村人は土地を広げるため木を切り倒しました。
多くの木が切り倒され、森が更地になったのでその地に住んでいたポケモンたちは大変困りました。
しかし村人たちは気にせず木を切り倒し続けたのです。
そんなある日、一匹のポケモンが一つの村に訪れてきました。そのポケモンはなんと、言葉を話せるポケモンだったのです。
そのポケモンは住処を奪うのはやめてくれと言いました。そして森に実っていた、たくさんの木の実を差し出したのです。
しかし、その村人たちは木の実を踏み潰し、そのポケモンに襲いかかりました。
この森は俺たちのものだ! お前らの住家など知ったことか!っと叫びながら。
ポケモンは命からがら村から逃げ出しました。
諦めきれないポケモンは、今度はもう片方の山あいに近い村に行きました。同じように村人に頼んでみるとその場にいた青年がこう言いました。
「私たちは生きるために木を切っています。だから止めることはできません」
「ならば、森の一部をあなたがたにあげよう。その場所だけなら木を切っても構わない。けれどもそれ以外の場所では切らないで欲しい」
「わかりました。けれどその場所に行く途中、貴方たちポケモンに襲われないという確証はありますか」
「ならば、我らの仲間に約束させよう。あなた方村人は決して襲わないと」
こうして山間の村人たちはポケモンと約束を交わしたのです。
それか山間の村人たちは、一部の場所を除いて決して森に立ち入ることはしなくなりました。
逆に、もう一方の村人はさらに森の奥に踏み入り、暴虐の限りをつくしだしたのです。
他所から強い鳥ポケモンを持ち出して放ち、森にすむポケモンを襲わせて森から追い出しました。鳥も森をあらし、そのせいで森は衰弱しました。
それからです。村でおかしなことが起き始めました。
村で飼っていた鳥ポケモンが次々と何かに襲われて殺されていったのです。
次第に数が減っていき、これはいけないと村人は鳥ポケモンを守る番犬用のポケモンを飼いました。
しかし、それも意味がありませんでした。なんせ番犬用のポケモンだけが生き残り、鳥ポケモンだけが殺されていたのです。
最後の一匹になってしまい、村人は鳥小屋を囲い寝ずの番をして見張りました。
夜が明けると同時に小屋の中から悲鳴にも似た鳥ポケモンの声が響き渡りました。
急いで中に入ると、鳥が見当たりません。
慌てて外に出てみると、いつの間にか鳥小屋の上に村に訪れた人語を操るあのポケモンがいました。
その足元には鳥ポケモンがいました。
ポケモンは言いました。
「もはやここまでだ。お前たちは森を壊しすぎた。これはその報いだ」
そういって、鳥にとどめを刺したのです。
鳥の断末魔が響いた時、森からわらわらと多くのポケモンたちが大勢現れました。森に住むポケモンたちです。
ポケモンたちは村人を襲い、家を壊し、畑を荒らしめちゃくちゃにしました。
村人たちは命乞いをしましたが、ポケモンたちは構わず襲いました。
一人の村人が何故こんなひどいことをするのかと叫ぶと、お前たちがしたことを真似してやっているだけだ、とポケモンは冷たく言い放ちました。
そして村はたった一日で全滅してしまいました。もはや残っているのはがれきの山だけです。
しかしポケモンと約束したもう片方の村は襲われずに残りました。
その村の名はカンラビレッジ、今もひっそりと森の中にある村です。